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断つ跡

作: Syan-g

中3の夏休み前、1つ下の後輩女子から呼び出された。「なんの話だ?」僕は問う。雰囲気で解っているつもりだったけど、あえて聞く。
彼女は答えない。むしろ、笑っているように見えた。
校舎裏で、彼女と向かい合う。夏を呼ぶさわ風が、赤くなった彼女の頬を撫でる。
彼女は切り出す。 「先輩のコトが好きです。 付き合ってください!」

…よくもまあそんな一気に言えるな。同級の女子に告白したときはそんなに素直に言えなかったのに。
僕はただ立ち尽くしていた。何も答えられない。 真剣な彼女の眼差しが、僕の心を貫こうとしている。
でも、答えないといけない。後輩相手に告白されて、しどろもどろする人、ドラマでも見たことがないのに。僕が第1号になってどうすんの?
僕は告白という氷山に衝突すれすれで舵を切る。 でも、心にヒビは入る。風鈴が割れたような、少し切ない音。

「…ありがと。 好きだって言ってくれて、嬉しい。今までこんな経験なかったし。
…でも、ゴメン。」
腹の底から声を絞り出す。このままでは喉という泉は告白という日差しでカラカラになってしまう。
ふと彼女を見る。 泣きそうな、少し寂しそうな表情。 僕は言う。
「俺だって、お前の事は好きだ。 でも、俺はお前とは、まだ友達の関係でいたい。 あまり話したことがないのに、互いに苦しくなると思うんだ。 だから…」
彼女はじっと見つめる。 本当は付き合っても良いと思った。 でも、なにか抵抗を感じた。心の中で。
さっき、僕には聞こえた。彼女の心にも、ヒビが入った音を。 小さなステンドグラスが割れたような、響いたようで、心細い音。
小さいように聞こえたけれど、彼女は僕を想ってくれた。 僕も彼女を想った。
でも、僕の心の何かが許さなかった。 赤色灯が脳内でグルグル回る。 今ごろ回るな、バカ。 もう終わったというのに。

何にも人を傷つけ、その傷を癒すこともできない自分自身。 心の奥が、痒かった。


それから数日、僕が後輩に告白されて、断ったことは学年で大きな話題になった。 女子からは「ロリコン(1つ下で?)」と言われ、男子からは非難と妬みの視線。
僕は何も周りに打ち明けなかった。


数日後、休みの日に彼女と会った。 彼女は何もなかったように、自然に話しかけてきた。 僕は、ただ黙って話を聞いた。
別れ際、彼女が手を振る。笑みを浮かべ僕も手を振り返す。
軽い足取りで走っていく彼女の頭上には。

虹が一筋、
僕と彼女の、
橋渡しをしてくれているようだった。

※この詩(ポエム)"断つ跡"の著作権はSyan-gさんに属します。

作者 Syan-g さんのコメント

告白されて、断るほど勇気の要るものはないです(笑)
ただ、人と接する大切さは改めて感じました。

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